部門別選択
当社は旬を大切にしており、その食材が一番おいしい季節に合わせた商品開発を心掛けています。目指しているのは料亭クオリティーであり、その先の“感動”です。「天然真鯛のゆずめし弁当」も旬を提供する商品です。目で見ておいしく、食べておいしく、春の訪れを感じて頂ける商品として開発しました。
当社の親会社であるいかりスーパーのお客様は、年配の方も多く、和食を好む傾向にあります。また、価格よりも品質やおいしさを追求される方がほとんどです。当商品もお弁当としては決して安いとは言えませんが、価格よりも商品の価値を追求しており、召し上がって頂ければ、価格以上の価値や贅沢感を感じて頂ける商品だと考えています。
国産の天然真鯛の一番おいしい季節は冬から春にかけてです。瀬戸内産の天然ものにこだわった一番の理由は味にあります。養殖ものとは全く味が違います。天然ものは味がしっかりしており脂のりが良く、皮も美しい桜色をしており、調理した際の見た目も華やかになります。サイズは1.5kg~2.0kgの活〆にしたもののみを使用。もちろん刺身でもおいしく頂ける鮮度抜群のもので、その真鯛を酢〆にして使用します。
ゆず飯に使用する米は、国産産地指定銘柄米3種類をブレンドし、一番相性の良い配合にしてあります。酢飯には、生ゆず果汁を配合した酢を使用し、爽やかさも演出しました。
お弁当の中には、自家製の手作り和惣菜を10種類詰めております。和惣菜の多くは、こだわりの“だし”を使用して調理しています。 開発に当たり苦労した点は、良いサイズの天然真鯛の確保も然ることながら、真鯛の鮮度との戦いでした。鮮度は味に直結するので、調理スピードを早くすることを常に心掛けて作業しています。
天然真鯛のゆずめし弁当
株式会社いかりスーパーマーケット 芦屋支店
副店長 一般食品部チーフ 門脇 慎二
有楽調理食品株式会社 製造管理課
藤原理江
「旬彩弁当」の提供は、当店が入店しているビルをはじめ、近隣で働くオフィスワーカーなどの方々に、もっと当店の本格的な懐石料理の良さを知って頂くために始まりました。弁当は注文での提供となっており、会議でのご利用をはじめ、懇親会、接待やおもてなし用としても大変注文が多いです。土地柄、最近では海外のお客様のおもてなしにも需要が高まっています。
旬彩弁当は商品名の通り“旬”を味わっていただく献立となっています。当店で夜に提供しているコースメニューを凝縮した商品であり、夜メニューと同じだけの手間を掛けて調理しています。 季節のご飯「舞茸御飯」は、新潟県産コシヒカリに焼いた丸鶏を1羽使用して一緒に炊き上げます。丸鶏は具材には使用せずに、だしのみのために使用します。
八寸では、「鰆の西京焼き」や「合鴨ロース煮」など、季節によりメニューは変更となりますが、おいしいものを少しずつ楽しめるような構成となっています。もちろんどの献立も一品ずつ手作りです。
炊き合わせは、その食材の火の通り方や味の染み込み方、だしとの相性、色の出具合などを考えて単品ごとに別調理をします。特にだしにはこだわっており、毎朝築地から挽き立ての削り節を仕入れて使用しています。やはり削り置きのものとは香りが全く違います。 最近では、ベジタリアンやビーガン、グルテンフリーなど、様々なお客様のご要望を頂き、応えるべく切磋琢磨しています。その甲斐もあり、外国人のお客様の利用が増えており、作り手としても昔では経験のできなかった大変良い勉強の場となっています。
旬菜弁当
檪(あじいちい)料理長
清水 昌哉
おでんと言えば通常は寒い冬をイメージしますが、今回、暑い夏に食べて涼しく感じられる商品に仕立てました。また、旬を感じて頂ける夏野菜をメインに構成しており、特に女性に支持の高い商品です。
夏おでんは、5年ほど前に袋入り商品として発売して以来、大変支持を得ていますが今回より即食性の高い商品として、又、惣菜売場でお客様が手に取りやすいように刷新し商品化しました。
おでんの具材は、10品全てをその具材の良さを一番引き立てるだしで別炊きしています。だしは鰹節や鰯節、鯖節、宗田鰹節、鮪節、昆布、椎茸粉末などを最適に配合して炊き出します。各具材の持ち味を活かす風味にブレンドすることが一番難しい作業です。
今回、おでんつゆを粗めのジュレで仕立ててあります。具材を炊くだしとは別に配合し澄んだだしのジュレには生ゆず果汁を加え、キラキラとした見た目だけでなく、食べた時の爽やかさも表現しました。 具材に使用する夏野菜は、だしがしみ込みつつも夏野菜の風味や色味を損なわないように、細かい隠し包丁や塩もみなど、下ごしらえをしっかりとしてあります。
関西エリアではおでんと一緒にご飯などを食べる方も多いので、お弁当などのもう一品としても人気です。
涼風 夏おでんゆず風味
岡山工場 副工場長 竹森 健二
製造管理課 藤原 理江
「有機キヌアの13品目シェフズサラダ」は、成城石井がプロデュースするワインバー「Le Bar a Vin 52 AZABU TOKYO」(以下、LBV)で提供している人気メニューをもとに、スーパーマーケット「成城石井」で惣菜として販売するために自社セントラルキッチン(CK)で商品化したものです。LBVは、“成城石井のプレゼンテーションの場”でもあり、メニューの食材のうち約7割は成城石井で販売・調達したものを使用しています。
商品は、ベースのグリーンリーフ類のほか、スーパーフードのアーモンドとクルミ、ゴジベリー、成城石井調達の有機キヌアと有機チアシードを使用。その他、自社CK製造のキャロットラペとスモークチキン、トレビス、トマト、アボカドスライス、オリーブの塩漬け、ゆで玉子などの13品目で構成されています。LBVでは出来たてを提供するため生ハムをトッピングしていますが、当商品ではアボカドスライスとゆで卵に置き換えて表現しました。
ドレッシングはLBVと同じレシピを採用しています。フラックスシードオイルとオリーブオイルをベースに、香味野菜やすりおろしりんご、白ワインビネガーを使用し奥行きのある味わいに。また、白ごまと醤油を隠し味で使用し、日本人好みの風味に仕上げています。
これまでよりも高価格帯の商品になりますが、大変高い支持を頂くことができました。おいしさはもちろん、スーパーフードや彩り、しっかりと手間を掛けた商品であることがお客様から評価されたものだと思います。 今後の商品開発としては、LBVで提供しているサラダのおいしいドレッシングを成城石井のオリジナル商品として販売できたら、ご自宅でもワインバーの味を楽しめ面白いのではないかと考えています。LBVの味を是非ご家庭でも楽しんで頂きたいです。
有機キヌアの13品目シェフズサラダ
店舗運営部 外食事業化 チーフ 水野 翔太
「新感覚! 汁なしアジアンフォー」は、パクチーやナンプラーを使用しアジアンテイストに仕立てました。さらに、肉味噌とナンプラーの混ぜ方次第で様々な味が楽しめる“珍しい”フォーです。
富士シティオでは2012年から毎年、神奈川県立保健福祉大学の食育サークル「シーラボ☆」との共同商品開発企画を実施しています。2017年度は学生さんが弁当や麺、サラダ等で計20品ほどを提案。商品開発を経て秋には3品を厳選し商品化しました。そのうちの一つが今回受賞した「新感覚! 汁なしアジアンフォー」です。
テーマは“食べてみたくなるアジアン麺メニュー”、コンセプトは“珍しさ”です。アジアンとは、“また食べたくなるクセの強さと刺激”、“異国感を味わえること”と定義づけました。学生さんにとってのSM惣菜はランチニーズがメインとなります。また、「せっかく外で買って食べるんだから、お母さんが絶対に作らないメニューがいいよね!」という生の声から、“珍しさ”がコンセプトになりました。さらに、学生にも人気のインスタグラムに投稿してもらえるように、見映えにもこだわっています。
商品化に当たっては、麺・食べ方・具材のどれもコンセプトの“珍しさ”起点で採用しました。麺類は経時変化への耐性が弱い事もありハードルの高い商材でしたが、当社のSM惣菜としてフォーを扱ったことが無いこともありチャレンジしました。通常フォーは鶏ガラだしのスープで食べるのが定番ですが、この商品は麺と具材、肉みそだれとナンプラーソースを混ぜて、汁なしの混ぜそば感覚で食べます。具材には彩り豊かな夏野菜やパクチーのほか、大豆ミート入りの中華風肉味噌だれを使用しています。
新感覚! 汁なしアジアンフォー
神奈川県立保健福祉大学 食育サークル
シーラボ☆ 保健福祉学部
栄養学科3年 滝沢 彩乃
富士シティオ株式会社 総菜事業部総菜課
バイヤー 竹内 匠
神奈川県立保健福祉大学 食育サークル
シーラボ☆ 保健福祉学部
栄養学科3年 須佐 彩花
ズバリ!静岡推し商品です。生でも食べられる静岡県駿河湾産の桜海老をたっぷり使用した天丼です。桜海老は地元ではしらすとともに海産物の代名詞のような存在であり、静岡県民から愛されているソウルフードとも言えます。この桜海老のおいしさを思いきり味わって頂きたく開発しました。
「桜海老たっぷり天丼」は既存商品のリニューアル商品ですが、以前の商品は小さい容器を使用したことで迫力もなく、値頃感を訴求できませんでした。今回は思い切って桜海老の量を50gから80gに増量し、容器も盤面の大きなものに変更しました。さらに他には無いスゴイところは、“桜海老100%”というところです。かき揚げの多くは、玉ねぎや人参などの野菜をメインに魚介類を入れた商品ですが、この商品は“桜海老だけ”で作りました。鮮やかな桜色や揚げた桜海老の香ばしさ、甘さ、うまさなどは、桜海老100%でなければ味わえない逸品です。
しかし、この商品は一見ただのかき揚げのように見えますが、実は作るのが大変難しい商品です。薄衣に仕上げるため、打ち粉と天ぷら液のバランスが重要です。揚げる際の注意点は、投入の仕方と時間です。桜海老同士の間に隙間を作り、食感とボリュームを出すため、散らして揚げ、まとめ上げます。薄衣にしているため、桜海老自体の焼けも早く、数秒長く揚げるだけで茶色く焦げてしまいます。
たれは、醤油とだしベースのたれをご飯に多めにかけ、かき揚げには少量をかけ、桜海老の風味を殺さないようにしました。
今後の米飯商品としては、“健康基軸商品”を開発したいです。塩分2g以下やカロリー500kcal以下、もち麦などのスーパーフードを使用したおいしい商品を開発していきたいです。
桜海老たっぷり天丼
商品部 デリカ課 課長 兼 バイヤー
伊藤 新治郎
当社が目指しているのは「日常の豊かさ」の提供です。非日常の贅沢な食の提供ではなく、日々の生活の充実を実感できる食の提供を行います。「おいしくてお値打ちな商品」の実現のため、より高いクオリティを果てなく追求するとともに安心価格を実現する事を商品活動の礎としています。
現在、店頭で販売しているおにぎりは大きく分けて「58円・85円・100円以上」の価格帯で構成しています。また、鮭、ツナ、梅などのベーシックな商品が8割、残りの2割が季節商品と特定のコンセプト商品となっています。これら商品の違いは具材の違いです。どの商品も主原料である米の品質に違いはありません。単一産地単一品種にこだわりを持ち、年間契約栽培の福井県産こしひかりを使用しています。「米のおいしさこそがおにぎりの価値」の考えの下、たとえ58円のおにぎりであっても同じ米を使用しています。
今回の「飛騨産赤かぶ梅酢仕立ておにぎり」に使用している赤かぶ漬けは、古来より岐阜県飛騨地方に伝わる伝統的な特産品です。飛騨高山の伝統野菜である赤かぶを漬け込んだ「赤かぶ漬け」は冬の保存食として食されてきました。「地元の食材を使っておいしい物を作りたい」という思いから商品開発に取り組みました。鮮度の良い赤かぶを塩のみで漬け込み、60日間の乳酸発酵により外は紅く芯は美しいピンク色に仕上がります。昔ながらの製法で仕上げるため、合成着色料は一切使用していません。炊きあがったご飯に赤かぶ漬けと金ごまの具材を加え、梅酢ドレッシングを合わせて仕上げます。色合いも重要な商品のため、最後の仕上げは人の手でムラが無い様に丁寧に混ぜ合わせています。
今後も引き続き「おいしくてお値打ちな商品」の開発を行い、お客様の「おいしい笑顔」を目指していきます。
飛騨産赤かぶ梅酢仕立ておにぎり
商品開発部 製品課 チーフマネジャー
木村 時寛
ナチュラルローソンでは、“美と健康”をテーマに30~40代女性をターゲットにした商品開発を実施しています。
近年、健康や美容に対して意識の高いお客様が増えています。サラダの売上が伸長し続けていることはもちろん、中でも特定の栄養素に特化しておいしく摂取することを目的とした“摂取サラダ”への支持が高まっています。
「もち麦入りおにぎり 枝豆と塩昆布」は、もち麦や枝豆、昆布など、女性が好んで摂取する栄養素である“食物繊維”を豊富に含んだ食材を使用したおにぎりです。特にもち麦は、食べたものの消化・吸収を遅らせる水溶性食物繊維を豊富に含んでいます。当商品はおにぎりカテゴリーの中でも上位に入り、安定した人気の商品です。
当社がもち麦を使用した商品開発をスタートしたのは約12年前です。当時はもち麦を使用した商品もヘルシー系のおにぎりもほとんどありませんでしたが、現在は競争の激しいカテゴリーとなっています。そのような中で、ナチュラルローソンだけでなく、レギュラーローソンでも安定して支持を集めているのには秘密があります。それは米の配合バランスです。原料は主にうるち米ともち麦ですが、さらにもち米を配合し、うるち米:もち麦:もち米の黄金比により、しっかりとした食感と食べ応えを感じられるように仕上がっています。その他、枝豆を加えることにより心地好い食感をプラスし食欲を増進させます。
味付けは、塩昆布の味わいに加え、優しくふんわりとした味わいを出すために、昆布と鰹だしで炊飯しています。
ナチュラルローソンでは、「ご飯をつかわないキーマカレー」などの主食を野菜に置き換えたお弁当などを発売しており、さらにヘルシーな商品を開発していきたいです。
もち麦入りおにぎり 枝豆と塩昆布
ナチュラルローソン商品部 部長
谷口 佳明
中食商品部 チーフマーチャンダイザー
堤 洋平
田舎寿司の多くは巻物で、味は違えど他社でも販売しており、また売場も地味になってしまうため、新たに品揃えする面白さはありませんでした。
そこで、これまでの田舎寿司とは真逆のコンセプトで開発することにしました。①巻物メインでは無いこと、②高知のおいしいものを少しずつ楽しめること、③彩り豊かなことです。
巻物メインではなく握り寿司と押し寿司も入れたことで、酢飯とネタの自由度が広がりました。当商品の酢飯は岐阜県産ハツシモを使用し、オリジナルブレンドの寿司酢と合わせた自社工場製です。寿司酢は化学調味料不使用で甘すぎず、後味良く仕上げてあります。
商品に使用する酢飯は寿司ネタに合わせて3種類用意しました。一つが自社工場製の酢飯に店内で柚子果汁を合わせた柚子酢飯です。店内で地元農家製造の柚子果汁を酢飯と合わせることで、柚子の爽やかな風味を残したまま提供できます。しかし、柚子果汁を入れすぎるとエグ味が出てしまうので、柚子果汁の配合には気を使いました。あとの二つは、その柚子酢飯に胡麻を合わせたものと胡麻・みじんガリを合わせたものです。
寿司ネタには、地元産のミョウガの甘酢漬けや高知県特産品のりゅうきゅうの酢漬け、自社製のバッテラ、地元商店手作りの蒟蒻を自社工場で味付けしたものなど、出来るだけ地元原料や地元企業と関係のある商品にこだわりました。
ミョウガやりゅうきゅうの味付けや色味には、酢の配合や漬ける時間など、何度も試作を繰り返しました。
10種類の寿司に加え、3種類の酢飯を店内で作るため、大変手間のかかる商品ですが、行楽のお供やお土産など大変リピート率が高い商品となっています。
今後は、“地元の野菜や果物”“健康”をキーワードに、果汁や果実酢などを使用した商品開発も面白いと考えています。
バリューの田舎寿司
バリューノア 惣菜部サブマネージャー
佐竹久美子
「スルガエレガントあんぱん」は、2016年最優秀賞受賞「静岡本山茶あんぱん」や2017年優秀賞「紅ほっぺあんぱん」同様、静鉄ストアが会社を挙げて、地元の産物を使用している“地産地送”商品です。今回は、静岡県を代表する甘夏みかん「スルガエレガント」を使用しました。爽やかな甘味とまろやかな香りが特長です。
今回、当商品を発売した季節は夏です。あえてパンが一番売れない夏場に、爽やかな夏のデザートとして冷たいあんぱんで挑戦しました。「夏だからパンは売れない」ではなく、「夏でも売れる商品を作る」です。
商品の一番の特徴は形状です。せっかくのチャレンジなので、これまでの包餡状のものではなく、「これがあんぱん?」と言われるようなユニークな形状を目指しました。この複雑な成型は、包餡してから生地を伸ばし、切込みを入れ、平たくして縛る、と手間のかかる作業です。結果として、餡が全体に行き渡り、どこから食べてもそのおいしさを感じて頂けます。餡は、和菓子専門店などが使用する北海道産手亡豆の白餡に、春に収穫されたスルガエレガントの果皮のダイスカットを全体の10%混ぜ込んでいます。果皮を10%混ぜ込んでいるため香りはかなり高いのですが、苦みが出てしまいました。当初のブリックス50度から60度に上げることで、爽やかな香りと上品な甘みを実現しました。
価格はNB商品と同価格帯とし、お客様に地元商品の良さを訴求しました。結果、通常のあんぱんの約2倍、1店舗1日88個を販売し夏場の売上に貢献できました。
現在、地元商品を使用したパンは年に3、4アイテム開発しており、今後は地元産のキウイやトマトなどを使用した商品も面白いと考えています。
スルガエレガントあんぱん
商品部 ベーカリー課 課長
兼 バイヤー 吉川 哲也
毎年、次回注目を浴びそうなキーワードをいくつか予想してチャレンジするのですが、今回は「抹茶」や「あんこ」などのキーワードを挙げ、惣菜部門にメニュー開発を提案いたしました。
「抹茶」は、地産地消という観点からも、地元福岡のブランド茶「八女茶」の抹茶がありましたし、「あんこ」は、マスメディアでも和スイーツが次々と取り上げられることに加え、当社で販売しているおはぎの販売推移などからも、まだまだ潜在的ニーズがあるのではないかと感じていました。
そんな折、ある地方外食店が、おはぎに生クリームを添えて提供しているというのを聞いて、当時、まだどこもやっていなかった「抹茶」×「生クリーム」×「おはぎ」のコラボレーションをやってみようという企画がスタートいたしました。それが「フォークで食べる八女抹茶のクリームおはぎ」開発のきっかけです。商品名の通り、箸ではなくフォークで抹茶クリームと一緒に食べてもらうことで、今までとは違う和洋折衷のスイーツと感じて頂けるように努めています。
抹茶クリームの開発では困難を極めました。抹茶クリームがなかなか安定せず、開発を諦めかけた頃、地元の人気洋菓子屋さんにご協力頂けることになりました。数日後、我々の予想以上の抹茶クリームが完成。やはり餅は餅屋と言うことを感じました。
おはぎにも改良を加え、最初の一口目で国産小豆の滑らかさと優しい味を感じて頂けるよう、鹿児島県喜界島のサトウキビから作られた砂糖をゼラチンに溶かし、コーティングしています。
今回の商品開発では、地産地消にプラスして地元企業や地元の方々の知恵や技術を借りることで、地元に根付かせ、地元の活性化につながることを理解する良い経験となりました。
フォークで食べる八女抹茶のクリームおはぎ
代表取締役社長 杉 慎一郎
2017年、国を挙げての新たなキャンペーンとなったので、我々も新しいビジネスチャンスとして捉えました。
プレミアムフライデーは働くお父さんのためにあるように思われがちですが、今回、ターゲットをファミリーとしました。「プレミアムフライデーセット」を家族揃って囲んでだんらんするシーンをイメージして作りました。また、特別な日にプレミアムな価値のオードブルを提供したいと考えました。
「プレミアムフライデーセット」は、こだわりの人気商品を中心に構成してあります。各メニューはどれもインストア製造であり、手間を掛けた商品は我々の強みであり、差別化商品といえます。
「手作りエビマヨ」は長年の定番商品で、特に女性に人気の商品です。「グリルチキン」はオードブルの“茶色感”を無くすために香草テイストを採用。「自家製キッシュ」は野菜に熱を加えることから始め、チーズを加えるなど、定番商品をグレードアップ。「いかと根菜の甘酢和え」は、いかの唐揚げと野菜の素揚げを合わせ甘酢あんで和えました。そして、中央の「紅茶鴨のパストラミ」は、鴨肉の上質なイメージと紅茶鴨の品質に加え、鮮やかな色味も商品全体の価値を引き上げてくれます。さらに、エビマヨとチキンステーキ、パストラミの下にはフライドポテトを敷いてあります。立体感を出すためもありますが、各メニューに合うことと、お子様のいる家庭やお酒を飲まない方でもより楽しめるように工夫しました。
価格は、平日の販売ということもあり、1,000円以下で実施したところ1日1店舗15パックほど動きます。
今後は、米飯・温惣菜・冷惣菜の各カテゴリーとの横断的なコラボ商品の開発も面白いと考えています。
プレミアムフライデーセット
商品グループ 惣菜MDチーム長 藤原 隆史
2017年に専門店祭事部門で最優秀賞を受賞した「敬老お祝い寿司」はお客様からの支持が高く、今では「大賞寿司」として定番化商品となり、売上にも貢献しています。
今回、七夕の日に向けて提案したのが「七夕寿司」です。七夕の日に織姫と彦星が1年に一度、貴重な時間を二人きりで同じものを分け合って食べる、切なく慎ましやかな場面をイメージし、“夫婦で仲良く一つの折を分け合う”ことがコンセプトです。
「七夕寿司」は、裏巻寿司と手まり寿司、ちらし寿司の三種類の寿司で構成されており、全て二つずつ組み込んであります。裏巻寿司はふりかけなどを使用した5色の酢めしを使用し、巻芯にはサーモンと海老の二種類を巻きました。レタスを挟んで巻くことで、海苔の食感と風味を少しでも長く保てるように工夫しました。
手まり寿司は、酢めしもネタも生寿司一貫分を使用して成形。通常の寿司玉を軽く丸め、通常の寿司ネタで巻いてあり、満足感も得られます。
ちらし寿司は、人気のネタであるまぐろやサーモン、蒸し海老、いくらをメインに使用し、金糸玉子、星形キュウリを載せ、鮮やかに盛り付けました。
まぐろや玉子の星形は、生の軟らかいままだと崩れてしまうため、少し凍らせて抜くことで綺麗に抜けるようになります。
作業面では、各パーツをしっかりと準備をしておくことで、百貨店の狭いキッチンでも4名30分で16パックを仕上げます。
2017年の最優秀賞受賞後から、各イベントでの商品開発の要望が百貨店からも頻繁にあるため、新商品開発にもっと注力していきたいです。また、平日は生寿司の動きが鈍いので、のり巻きを華やかに飾りつけた商品や割ると中から具材が飛び出してくる商品など、アイデアは沢山ありますので、具現化していきたいです。
七夕寿司
味燦舞 新潟伊勢丹店 店長 吉田 美砂子
サミット「総菜選挙」は、当社の人気惣菜7商品に対し、惣菜担当バイヤーがそれぞれの公約を掲げ立候補し、お客様が店舗に設置された投票箱に直接投票します。当選した商品は、チラシ特売に設定され公約を果たすという企画です。
この企画のきっかけは、会議中に出たちょっとした雑談からでした。その頃の話題としては、「2017年東京都議会議員選挙」や毎年恒例の「AKB総選挙」など、どちらも有権者が直接選ぶものでした。会議後、総菜部から営業企画部に話を持ち掛けたところ、「総菜選挙」企画が実現しました。
チラシの重要性は、まずはお客様に見て頂くことだと考えています。興味をもってサミットに来て頂くために、今回は紙面の半分を使用したユニークなチラシとなりました。また、お客様・従業員参加型の企画であることに大きな意味があると考えています。
総菜部門としては、6月の父の日の後は梅雨に入り売上が厳しくなる時期です。6月後半の売上の柱にするという思いと、サミットの自慢の惣菜商品を新たなお客様に知って欲しいという二つの思いがありました。
選挙結果は、1本88円セールを公約とした「桜姫鶏の焼きとり」が当選し公約を果たしました。しかし、我々は結果以上に大きなものを得たような気がします。総菜選挙をきっかけに、全従業員が自分たちで考えて売ることの楽しさを知りました。試食台を改造した選挙カーで宣伝をしながら店内を練り歩く者やたすき掛けをして推し商品の応援をする者、惣菜バイヤーにおいてはYouTubeやサミットビジョンで政見放送を実施しました。
今回の総菜選挙をきっかけに、我々が楽しくなればお客様に伝わり、我々もさらに伝えるようになりました。まだ入り口に立ったばかりですが、サミットは新たな良い方向に向かっていると感じています。
総菜選挙
総菜部 チーフバイヤー
和田 行博
営業企画部 販売促進グループ
中里 雄